関わり方

けんか

川口正人です。

今回は子どものケンカ
について考えたいと思います。

ケンカするほど仲が良いとか、
夫婦ゲンカは犬も食わないとか言いますね。

こんな風に言われるとケンカって
悪いことではないような気がしますが、
現実はどうでしょうか?


暴力は確かに良くないことですが
自分の気持ちを上手く伝えられないもどかしさや
そこから来るイライラは大人の私たちも
よく経験していると思います。

自己主張のぶつかりあいがケンカなら
それを大人ほど言葉を伝える術を
持たないこどもたちが
気持ちを伝えるために取った行動が
大人から見るとケンカに
見えているのではないでしょうか?


何も相手を傷つけようとか、
嫌なことをしようとか考えているのではなく、
ただ一緒に遊ぼうとか、
単純にそのおもちゃが欲しいだけで、
言葉でそれを言えれば良いのですが
気持ちより行動の方が早い子どもたちは
先ず動いてしまいますね。


それを、簡単に止めてしまったら
その子の気持ちは何処でどんな風に
出したら良いのでしょうか?

大人にとって不都合な行動も
ここから、優しさや、仲良く遊ぶ楽しさを
知って行く過程にいる子どもたちは
経験を積み重ねてそれらを
自分の身に付けていくのでしょう。

わくわく子どもえんでも
そんなケンカは日常茶飯事でしたが、
ケンカは自由ではなくルールがありました。

一、武器を持たない素手でする。
二、一対一で。
三、周りの人は応援しない。

です。

思う存分自己主張を出しきった子どもたちは
しばらくすると何事もなかった様に
僕の前をニコニコ笑顔で手を繋ぎ
時には肩を組んで通り過ぎて行きます。

心配でハラハラ、ドキドキ気配を消して
見るとはなしに見ていた僕の気持ちも
一緒にニコニコ、ポカポカになりました。

次回は兄弟喧嘩について考えてみましょう!

***

吉村正浩です。
私は小学校でのケンカの場面について書きます。

ケンカは日常的に様々なところで起こります。

ケンカが起こるということは何かと
時間と労力が取られる出来事ではあります。

そこで,イライラしてつい両成敗したり,
一方的に形だけ解決してしまったり
といったことがあるのではないでしょうか。

私はケンカした時こそ
色々なチャンスがあると思っていました。

①お互いのことを知るチャンス
②仲良くなるチャンス
③(子供同士,大人と子供の)信頼関係を作るチャンス
④よりよく生活するためのルールを考えるチャンス
⑤何かあったら自分たちで解決できることを体験的に学ぶチャンス

ざっと考えただけでもこの5点はありますね。

①
ケンカしてしまったということは
お互いに感情を出したということです。
その時は興奮していて
冷静に話し合うことはできないかもしれませんが,
落ち着いてからなら,
その時にどんな気持ちだったのか、
何が嫌だったのかを振り返ることができます。
お互いの視点を理解することで,
相手がどう思ったのかが分かります。

②
お互いにどう思ったのかを分かり合うことができ,
不満やひっかかっていたことを全て解決した後は,
びっくりするくらい子供同士の
距離が近づくことがあります。
それをきっかけに仲良しになることもありました。
合わないものは合わない!
ということももちろんありますが。

③
時間をかけてじっくり話すことで,
「話をしっかり聞いてくれるんだ」
と思ってもらえるようです。
逆に言うと,話を聞いてもらえないことが
多いということかもしれません。
繰り返すことで都合の悪いことも
話してくれるようになっていきました。

④
場合によっては新しいルールを決めることで
同じケンカが起きなくなりそう
というアイディアが出ることがあります。
個人間であってもクラス全体であっても,
そんな時にみんなで決めたルールは
喜んで守るものです。
そうやって積み重ねてできた秩序は安定します。

⑤
私が間に入った時はできるだけジャッジせず,
思いを引き出すことと,
時系列に沿って進めるだけに徹しました。
特に低学年は時間の流れが
めちゃくちゃな場合があるので大切です。
(だから2年生の国語の説明文で「時を表す言葉」を学習するのでしょうか?)
そういった交通整理をするだけで,
少しずつ解決に向かっていきます。
そして,それを何度か経験すると
自分でできると思うようで,2年生でも

「休み時間にけんかをしたので廊下で話し合って良いですか?」
「じゃあ◯分までにして,どんな話だったか後で教えてね」

と,解決できるようになります。
時には間に入る子が出てきたりもしました。

ここで大切だなと感じていたのは,
「形式的に謝ればいいんでしょ」
という認識を正すことです。

今まで,
「あなたが謝りなさい」
「ごめんね」
「謝ってくれたよ!どうなの?」
「いいよ」
といったやりとりを積み重ねてきたのでしょう。

すぐに「ごめんね」になり,
反射的に「いいよ」と許してしまいます。
言葉に出しても気持ちは全く解決していないので,
同じケンカが当然繰り返されます。
それが私はいやだったので,

「謝りたくなかったら謝らなくていいよ」
「許せなかったら許さなくていいからね」

と,伝えながら交通整理をしていました。

それでもお互いに何かを
解決したいと思っているので,
時には何日か置くことにもなりますが,
必ず最後は解決していました。

それが正しかったのかは分かりませんが,
私はそのぐらいじっくり話すことは
大切な時間だと思っていました。

子供たちの様子を見ても,
頭ごなしに叱られる時間は
早く過ぎてほしそうですが,
思いを出し切り,理解し合うことは
良い体験だったように感じました。

てくてくでも,これから
たくさんのケンカがあることでしょう。

そのひとつひとつを大切な経験として,
積み重ねてほしいと願っています。