てくてくの暮らし

てくてくらしさを、てくてくらしく

川口正人です。

てくてくの暮らしが始まって一番最初に
スタッフで考え話し合ったのが、
「いいよ」と言う声かけでした。

子どもが何かをしようとしたとき、
これして良いと尋ねて来たときに
無意識に何気なく「いいよ」と応えていましたが、
それってどうなんだろう?

大人が許しを与えないと自分のしたいことが
出来ないようにならないのかな?

それでその子に何が積み上がっていくのだろう?

その子のしたい、やりたいと言う気持ちは
大人に確認しないと出来ないのかな?

それは、何だか嫌だなあ〜
と三人で話し合った結果
「どうぞ〜」の声かけでした。

それが良いのかどうかはわかりませんが
今の僕たちに出来るのはこれしかないな♪

少なくとも「いいよ」よりは
気持ちが良いのは確かでした。

子どもたちは、周囲の環境を全て
丸のまま吸い込んで育っていきます。

古い諺に「門前の小僧、習わぬ今日を覚え」
って言われる通りですね。

その中で一番大切な環境はなんと言っても
大人と言う環境ではないでしょうか。

何気無い大人の会話や行動を
真似て育って行く子どもたち

似なくて良いとこばかりが似ていくのですね。

言葉も同じように意味は解らなくても
絶妙なタイミングで使って周囲を驚かせます。

私たちは、子どもたちに言葉の音よりも
その気持ちを先ず伝えたいと考えて
暮らしを重ねて行くことを大切にしたい
と、考えた結果出てきた「どうぞ」です。

ご自分の声かけを今一度意識してみませんか?

どんな気持ちで、どんな声をかけているのか?

そして、子どもたちは何を積み上げているのか?

これが正解、という声かけは無いと思います。
今自分が出来る最善手の積み重ねが
子育てではないでしょうか

続く


ーーーー

鈴江知明です。

声がけ一つで子供の行動はがらりと変わりますね。

てくてくをスタートしてから
「いいよ」ではなく「どうぞ」の声かけを
我が家でも取り入れて生活しているのですが、
娘達が「○○して良い?」
と訊いてくる頻度が高いことに氣付かされました。

私としては、
「そんな事を決めるだけなのに、
 どうしてお母さんの許しが必要と思うの…??」
と思ってしまうのですが、
これも全て自分がやってきた
積み重ねなのだと反省しました。^^;

自分の頭と心で判断、決断できる子に
なって欲しいと親は皆思っています。

なのにそれをさせないように
してしまっているのも、親なのですよね。

無意識を意識すると
氣付くことがたくさんあります。

子育てしながら自分育てができるのが、
楽しく嬉しいです。

大人も日々積み重ねですね♪


ーーーー

吉村正浩です。

ここでは
てくてくで大切にしていることや理念を
具体的な場面を取り入れながらお伝えしています。

てくてくの暮らしを積み重ねながら,
子供たちとどんな関わりをし,
子供達はどんな暮らしをしているのか。

生活の様子はFacebookでお伝えしていますが,
その中で我々が何を考え,
どんな試行錯誤をしているのか。

そんなことを共有できればと思っています。

本オープンに向けて今までを振り返った時,
この半年を振り返ってみて,
一番大切にしている考え方を
まとめることにしました。

それは一言でいうと
「マニュアル化しない」
ということかなと思います。

上記文章の中で「どうぞ」
が取り上げられています。

これはとても大切なことなのですが,
かと言って「いいよ」と言っては
いけないということではありません。

少しそれてしまいますが,
私たちはついつい「正解」を求めてしまいます。

「こんな時,どう言ったら良いですか?」
「今こうなんですけど,どうしたら良いですか?」

困った時は特にこういった
その場しのぎの答えを求めてしまいます。

それは学校の先生たちもそうで,
「明日から使える」という
謳い文句に飛びつく傾向にあります。

私が正規教員になる前,
非常勤講師で働いていた頃,
先輩教員が更衣室でさらに上の先輩に
教えを乞うていた話を何度も聞かされました。

「クラスが今,こうなんすよ〜。
 どうしたらいいっすか??」
「で,お前はどうしたいのよ」

毎回このように始まっていたそうです。

若い先生は現状を何とかしたい。

でも,大切なのはその先生がどうしたいか。

基本的には答えは自分の中にあり,
時々アドバイスをいただく。

そんな時間をタバコを吸いながら
(本当はダメです)していたそうです。

話は戻りますが,何かあった時に考えることは,
「てくてくとしてどうしたいか」
は共通理解しており,
「じゃあ自分はどうしたいか」
は各自が日々考えている。

具体的にどう対応するかは
当然場面によっても人によっても違ってきます。

それを私はてくてくらしさの一つだと思っています。

教育現場では,
「足並み揃えて」
「同じ対応を」
しないと保護者の不信に繋がったり,
子供が混乱すると言います。

てくてくでは子供たち一人一人個性があるように,
大人も一人一人個性があります。

「てくてくを選んだ」のは共通しているので,
そこは当然大人も子供も揃っていたいと思います。

でも具体的な言動には個性が出るし,
それは大切なことと思います。
そう言ったことを今回から3回に分けてお伝えします。

「どうぞ」って,揃えているんじゃ??
と思ってしまいますが,少し違います。

今までつい,「いいよ」と言っていたのを
ちょっと踏みとどまって
「どうぞ」に変えようとしてみる。
そこで自分の今までの習慣や
思考の癖を意識することになります。

「今は許可する場面?」
「私が許可する立場?」

そう考えた時,
多くの場合は違うことに気づきます。

当然,許可を出す必要がある場面では
「いいよ」と伝えます。

大切なのは「いいよ」を「どうぞ」
に変えることではなく,
子供を大人に従属する存在
と捉えることをやめることにあります。

「いいよ」と言いそうになった時に
立ち止まることで,いかに今まで
無意識に子供を服従させようと
していたかに気付かされることになります。

それをなくすことがてくてくとして
大切にしていることの一つです。

長くなってしまいましたが最後に。

上記の先輩教員と同様,川口正人さんが言う

「あなたはどうしたいの?」

答えを求める前に一度,
自分に問い直してみるのも大切ですね。