心と身体

ご質問2「発達障害について」

― ご質問 ―

発達障害について,
皆さんが― 考えておられることや
感じておられることを聞かせていただけたら
嬉しいなぁと思っています。

と言いますのも、
昨日息子の3歳児検診があり、
心理士さんから発達障害の詳しい検査を
薦められました。

息子の普段の様子をみていると、
検査をしたらきっとADHDと言われるだろうなと
感じてはいたので、そこに驚きはなかったのですが、
今の行政の対応を見ていると、

「小学校にあがったときに苦労しないため」

つまり、

授業中じっと座って先生の話を
聞いていられるように
みんなと同じ行動が取れるように

ということに集中しているような気がして、
すこし気持ちわるさを感じてしまいます。

息子にとって、必要なサポートや対策は
もちろん大切にしたいと思っていますが、
息子のキラリと光る特性を
無駄に潰してしまわないよう
これからどんな風にするのがいいのかなぁと
すこし考えてしまいました。


― お答え ―


吉村正浩です。

12年ほど小学校の教員をしておりました。

>授業中じっと座って先生の話を聞いていられるように
>みんなと同じ行動が取れるように

その通りだと感じます。
そして,「みんなと同じ」というのは
「言われた通りに」
「教員の思い通りに」
と同じ意味となります。

「ADHDの疑いのある子」を
専門家ではない立場から想像すると
①思ったことを口に出してしまう
②思いついたらすぐに行動してしまう
③気に入らないことがあると手が出る
などの様子が挙げられます。

そのような子が学校に行くと一般的に,
①→「静かにしなさい!」
②→「立ち歩いてはいけません!」
③→「叩いたあなたが悪い!」
と叱られる→またやる→もっと叱られる→暴れる

を繰り返し,自己肯定感と教員への信頼が下がり,
戻れなくなってしまう…
そういった場面がよくありました。
私自身そういった対応をしていたこともありました。

しかし,その子の問題ではなくて
環境や教員の関わりの問題だと思います。
捉え方を変えるとどれも個性であり,
長所と言えるのではないでしょうか。

①
そもそも興味があるから
口に出して反応をしているわけです。
黙って聞いている子よりも
よほど興味・関心が高いと言えます。
口に出すことで学んでいるのは
その子の学び方かもしれません。

ノートを全く取らず,教科書をよく忘れるのに
授業中よくおしゃべりをしている子が
テストで高得点をとることがあります。

「授業態度が悪いのに点数は高い!」

と悔しそうにしている先生がいますが,
言われた通り真面目にノートをとっている子より
よほど主体的に学んでいるので当然ですね。

②
これも主体性の現れです。
今,やりたい。今,確かめたい。
それを行動に移しているわけですから,
本来それを止めてはいけないはずです。

③
カッとして手が出てしまう。
それは特別な子ではなくてもあることです。
「手を出したら悪い」のは正論ですが,
それではカッとしてしまった気持ちの行き場がありません。

悪いことをしたと理解できる子は
自己肯定感が落ち,理解できない場合は
イライラだけが募りもっと攻撃的になります。

落ち着いてから振り返り,
自分の気持ちの変化を思い出すことで少しずつ
自分でコントロールできるようになるとともに,
周りの子たちも関わり方を学ぶ機会となります。

こういったことは研修等で学びはしますが,
実際に担任として子供の個性に応じて
対応できるようになるには,
実践を通した経験が必要です。

私自身は失敗を反省しながら
少しずつ対応の幅を広げてきました。
まだまだ未熟だと感じていますが,それでも
「その対応は良くない」
と感じてしまう対応をたくさん目にしました。

今はまだ,「教員による」というのが現状ですが,
その子の個性として,
長所として伸ばしていけるかどうかは
大人の対応や関わり,環境の作り方次第だと思っています。


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鈴江知明です。

発達障害についてですが、
皆なにかしらの特性があるものです。
その特性がちょっと際立っていて
生活の中で不便を強いられる事があるだろう子が
発達障害と分類されているという認識をしています。

親世代であるパパ達に聞いてみると、
割といますよ。
「僕が今の時代に子供だったら絶対多動って診断されてたわ!」という人。

最近は何かと診断しようとする傾向がありますが、
大事なのはその子の特性を知った上で
どのような対応を取るかという事だと思います。

診断を受けたからといって
色眼鏡で見るのでは無く、
その子に合った関わり方をしよう!
と周りが環境を整える。

せっかく際立つ個性を持っているのだから
そのまま伸びていって欲しいですよね。

だったらその子になるべく制限をかけない、
のびのびと自分らしさを出せる環境を作ると良いと思います。

「学校で苦労しないため」に
小さいうちから訓練するなんてもってのほか。

小さいうちだからこそトコトン
あるがままの自分を存分に出し切った方が、
成長した時に「生きづらさ」を感じにくいと思います。

周りと同じようにできることを強いられ、
自分を押し込められてしまったがために
自分らしさを失い、
生きづらくなってしまっている人は沢山います。

周りの大人はその子が今、
何を思ってその行動をしているのかを
考えるという事を日常にして欲しいと思います。

テーマがテーマだけに、
なかなか簡単には語り切れないですが、
そのキラキラの個性を大人たちで
応援して育てていきたいですね!

ご質問ありがとうございました♪